化学物質には毒作用だけではなく、生体の構成成分ではないことから、体内に侵入すると生体は化学物質を異物として、認識し、外に追い出そう、或いは、包合したり、分解させるなどの異物の処理作用を起こします。その結果、生体は余計な作業を強いられ、活性酸素などを外敵用に放出するので、体は防御の為に酸化を余儀なくされます。それ故、化学物質は生体にとって良いものではないから、できるだけ体内に入れない努力をすることが健康につながります。

ところが、先日、私は医療関係者の松橋奈央子さんから次のようなメールをいただきました。「現代人の一部の人達かもしれませんが、化学物質について製造方法から分子式、化学式、元素の割合もすべてわかっているので、化学式など未知の自然界の生物より、安全である」という考え方で化学物質と生き物をとらえているのです。私たちは医療に携わってきたので、同一物質の体内侵入は危険ということは理解できますが、一般の人の中には全く逆で、分かっているものは未知のものより安心できるから安全という理論なのです。

思わず、「なるほど、へーえ！」こんな考え方もあるのだと、呆れるより、変に感心してしまいました。確かに、これは説得力があります。医薬品の製造時の考え方（GMP)と共通しています。合成医薬品は同一な物質をつくることが求められておりますので、それはそれとして正しいことではありますが、生き物の体に摂り入れられる場合、この考え方は大変由々しき問題なのです。更に多くの人が同じ物質が入るということに何で問題なのかが理解できないことも含めて、ここまで、化学物質を正当化させてしまったことに恐ろしさを感じます。本当に初歩の話になりますが、地球上の生物は全て同じ物を摂取するという体験をしていないのです。しかし、化学物質が開発されたことによって、これまで地球上に存在しなかった同じ物質、単一物質をいくらでも作ることが出来るので、これらが私たちの生態系の中にいきなり入ってきて、今日の現代文明を構築した結果、私たちは生物ではない同一物質を毎日、食べさせられているのです。いわば、私たちは合成化学物質の毒性実験の実験動物なのです。これから、何十年、何百年後に真実がわかるでしょう。

《生物には同一物質は一つもない》

勿論、生物を用いたものでも1回、つまり、1ロットはほぼ同じようなものをつくることができます。例えば、スープやシチュー、カレーなど完全に具がなくなって汁だけになれば、ほぼ均一化したものが得られますが、いくら細かく砕いても、生物はどこの部位をとっても同じ元素バランスのものはないので、同じ種類の原料で出来ているといっても同一のものとは言えないのです。ですから、地球上の生物及び物質は、どの部位も同じ元素バランスのものは存在しないのです。人間は生物体を食べて生命活動をしてきましたので、同一物質を食べたり、摂取するというような体験をしてきませんでした。しかし、現代生活の中で私たちは合成化学物質を沢山体の中に入れています。農薬、合成食品添加物、医薬品、化粧品など、同一物質がどんどん体内に入り、異質な働き、或いは存在をしていますので、現代人の生体はこれまでとは全く異なる未知なる対応を強いられ、それが高じて、癌を始め、心臓病、脳血管系障害、糖尿病、アトピー性皮膚炎、喘息、その他各種の難病といわれる現代医療では治せないとされている疾病が生じたのは、私からすればこの同一物質の体内侵入によるものと考えます。

《現代生活は化学物質の有害作用の人体実験そのものです》

それ故、同じ物は性質や形がわかっているから、わからない自然の生物より安全であるとする考え方、思想を植え付けた人達は「悪」ですね。生物は一つとして同じ元素バランスでできてはいません。つまり、同じ生き物をつくることはできないのです。同じ物を食べたことのない私たち生物が同じものを食べることによって当然のことながら生体に異常が生じ、それが現代病という形で、私たちに警告しているのだとすれば、私たちは、それを無視するのではなく、受け入れて、一刻も早く対応しなければ、人類はいずれ滅亡することになるでしょう。