癌患者さんとお話させていただいていた時、大変気になることを話されました。その方は1年以上、抗癌剤のパクリタキセルの点滴治療をされていますが、これまではCTでみる限り、肝臓のガンの状態がほとんど変わらずにきていたのが、今回は急に大きく、しかもはっきりとわかるようになっているとのことで、主治医曰く、ガンがパクリタキセルに対して耐性が出来てしまったので、別の抗癌剤で治療しましょうと言われたそうです。要するに抗癌剤が効かないから換えましょうということなのです。患者の立場からみたら、あまりにもふざけた話です。抗癌剤自体がガンに数ヵ月投与して変化がなければ、ガンを叩く力が低下したとみるべきでしょう。それを1年以上摂取させた結果、抗癌剤がガンのプロモーター、つまり援軍となって応援して、ガンが増強していったものと考えます。医者は1年以上、ガンが大きくならなかったことは珍しく、すごいことだと賞賛されていたといいますが、これは大変ふざけた話です。ガンが抗癌剤に耐性ができているなら、こうした毒物の投与を一刻も早くやめるべきでしょう。
耐性が出来たことで、この抗癌剤ではガンを退縮させることなど無理なのですから、生体へ毒物を入れないように配慮するのが当然のことでしょう。この状態はガンは強くなるが、生体は抗癌剤という毒物の慢性摂取で傷めつけられ、弱っているのです。ガンで体が蝕まれるより、抗癌剤の毒で生体が壊される方が大きいのは、まさに本末転倒ではないでしょうか。
私は毒性研究の中で次のような体験をしました。一つはクロロホルムの発癌実験でマウスとラットを使うのですが、投与濃度は同じにします。10ppm、30ppm、90ppm、そして対照群は0ppmの公比3で行いました。しかし、90ppmの高濃度ではマウスとラットの一方は90ppmの濃度に耐えられなくて死亡がみられました。そこで、死亡する動物種について、先づ、10ppmを一定期間摂取させ、次に30ppmにこれまた一定期間摂取させてから、90ppmを摂取させたところ、動物は2年間のクロロホルムの投与に耐えられました。つまり、90ppmという致死濃度でも致死濃度より低いレベルで耐性をつくってから致死レベルを投与しても死なないことが判明しました。砒素も同じことが起こります。いきなり致死レベルの量を摂取すれば死にますが、低いレベルから砒素を摂取して耐性を作れば、致死濃度でも死なないのです。暗殺を企てた人が、この方法を用いた過去の毒殺事件があります。しかし、青酸(シアン)化合物についてはダメで、耐性はできませんでした。私は青酸カリをウサギに慢性摂取させている時、致死レベルを与えると直ぐに死に至ってしまいます。
私は病気に対して化学物質という有害作用のあるものを使って治すのは、別の病気つまり副作用が起こることを覚悟して事にあたらなければなりません。つまり、「毒をもって毒を征する」のですから、用いる毒のリスクは負わなければなりません。前述の事例を話すことによって、抗癌剤を使う側の人は、患者さんの生体に一定期間で抗癌剤がガンを退縮できなかったならば、生体にある程度耐性が出来ているから、もう少し高い濃度あるいは量レベルの抗癌剤を投与して、ガンを叩く手法を試みるかも知れませんね。
抗癌剤や放射線などを使うガン治療は言い過ぎならゴメンナサイ、ガンが壊れ死滅するか、生体が壊れ死に至るかという本当に壮絶な戦いだと思います。私は野生という武器を使って生体を極限まで強くすることでガンより圧倒的に強くなるというイメージで生活をしていくうちに、ガンが自然退縮していくという方法なら理論上も正しいし、実践でも毒性のリスクを負いませんので、生体への負担になりません。しかし、ガンは出来るまでにも長い時間がかかったように、治っていくにもある一定の時間は当然必要です。
私は何度もいいますが、病気に対して、「知識」を持つことが必要で、それに「知恵」をつけ、「決断」して実行したら、「忍耐」をもって事に当たってください。これに尽きます。
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