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Channel: 『植物マグマ』中山栄基 Official Blog
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除菌・消臭スプレーの有害性データの解析

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元、化学物質の毒性を研究していた毒物屋としての視点で、この除菌・消臭スプレーAの東京都健康安全・研究センター(2006年)のマウスを用いた動物実験データの記事について解析してみました。但し、実験内容の詳細データを見ているわけではなく、FB上の渡辺雄二氏の記事内容だけでコメントしたものです。
第一回目の実験内容は、マウス新生仔に除菌・消臭スプレー(試料A)を純水で希釈したものを体重1kgあたりに原液換算で、0ml(対照)、2ml、4ml、21日間経口投与したとの記載。ここで、この投与量が1日当たりの量か21日の総合計なのか、わかりませんが、おそらく、1日当たりの量と思われますので、この推測で解析します。又、強制経口投与か、自由摂取なのかは、おそらく強制経口投与と思われます。投与量は体重kg当たりmlで表示されておりますが、動物はマウスで新生仔から21日間後までですから、10-20gがせいぜいの体重と思います。とすると新生仔10g/headでは、0.02mlの原液A量となり、2%A液を1ml投与すれば、体重kg当り原液2ml投与となり、2%A液を2ml投与すれば、原液4ml投与したことになります。これを21日間連続投与したことになります。
【結果】
イメージ 1

ちなみに比較にはなりませんが、劇物、毒物にする時のデータに使用するLD50値(半数致死量)

劇物50-300mg/kg 経口投与(1回投与)
毒物50mg/kg >

イメージ 2

 
つまり、1回だけの投与でのLD50値の数値が300mg/kg以下であれば大変危険なものとなります。又、1g/kg以上であればあまり急性毒性は高くないということになります。それを念頭に入れてA剤2ml/kgの1回投与での死亡率22.5% - 4% = 18.5%としても急性毒性としては驚くほど高い数値とはいえない。さらにこの2ml/kg/headの投与が21日間続いたとしたら、有害作用は急性毒性はもっと低くなります。
しかし、第2回目の実験では投与を原液換算で0ml、0.5ml、1ml、2mlになるように21日間続けたとあります。その時の2mlの雌雄の体重に減少、また、2mlの雄の4週齢の体重減少が対照群0ml投与群に対してみられたとのことです。
体重減少は動物を用いた毒性実験の際の基本ですから、A薬剤が新生仔に負担をかけているのは当然と思いますが、新生仔に2ml/体重/headの投与量は多過ぎないかということも考えられます。そこで行った第2回目の実験での0.5ml、1mlの時の死亡数がいくつであるのかが示されているとよかったのですが、示されていないので、又、21日間の実験ですから、血液生化学試験、病理組織検査データなどで、どこに異常があるかということで、本当のA剤の有害性が示されるのではないかと思います。この記事データの内容だけでは真実が判明されていないと自分は解析しました。しかし、私はこうした一般毒性試験だけでなく、様々な角度からきめ細かな有害性調査をすべきと思います。
一般市販の除菌・消臭剤にはいくつもの化学物質が入っていると思われますが詳細に成分を表示する必要がないようです。ここでは有効成分のトウモロコシ由来とだけ記載されていますが、渡辺雄二氏の危ない除菌、殺虫、燻煙剤について警鐘を鳴らす著書によれば、除菌作用は第四級アンモニウム塩によるものとされていますし、その他の化学物質にも問題になるものがあるのは充分想定されます。私からすれば、化学物質はすべてダメだという考え方ですから、化学物質の除菌・消臭剤は論外ということになりますが、一歩譲って、トウモロコシ由来を強調しているのですから、このA剤全体で毒性をみるのともう一つ、有効成分でみるのと2通りの毒性試験をデザインする必要があります。
毒性試験はGLP基準に従った一般毒性試験では一般症状検査(症状、体重、摂取量、飲水量など)、血液、生化学検査(白血球分類による免疫力の検査(好中球、リンパ球、単球の比)、病理学的検査をすることで、A剤の一般毒性状態が把握できます。21日間で半分以上が死んでしまう濃度では、有害作用を検査するにはあまり適正な濃度ではないのではと考えます。が、それ故、0.5ml、1ml、2mlのデータの内容が興味深いことになりますね。
又、特殊毒性試験として、眼粘膜・皮膚粘膜・口腔粘膜刺激性試験、発癌性試験、微生物試験、培養細胞試験などがありますので、目的に応じて選ぶことで、その物質の有害作用を判断します。
今回の毒性試験は乳幼児に対する除菌・消臭スプレーの有害性を目的としたものと思われますが、急性毒性ならば1回の投与のLD50値を示すこと、亜急性試験ならば、14日、21日、3ヶ月間位の投与期間で、体の全部位でどんな症状が出るのかみるような試験デザインに基づいて結果を公表してほしいと考えました。
あくまでも東京都安全研究センターの論文をみてもいないで解析したものですから、一人よがりになっているかもしれませんので、間違っていたらゴメンナサイ。手元にこの論文を得たならば、もう一度、投稿したいと思います。




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