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Channel: 『植物マグマ』中山栄基 Official Blog
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【中山栄基の解説】焦がした食品から発癌性物質のアクリルアミドが発生 。焦げた食べ物を多く食べると癌になるは正論だった!

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私は本当に久しぶりにアクリルアミドの毒性に遭遇しました。私が大学4年生の時(1965年頃)、担当の菊野正隆教授より、「鉛、水銀、カドミウム、そしてアクリルアミドの神経系に及ぼす影響を核酸のDNA、RNAを用いての研究」を卒論の実験テーマとして与えられ、上智大学の理工学部と慶応大学医学部神経科の猪俣先生、そして実験施設は帝国臓器のウサギ飼育室で行われ、アクリルアミドは強烈な中枢神経障害を生じるものであることが判明した。

当時、アクリルアミドは土壌改良剤などに使われていたが、発癌性は解明されていなかった。その後、毒性研究の仕事で、ポリアクリルアミドの長期毒性試験を依頼された。このポリアクリルアミドのは水の汚れを浄化する時の凝集沈殿剤として使用されており、上下水道の浄化のための一次処理にはなくてはならないものとされていました。ポリアクリルアミドそのものには有害作用はなかったが、この中に不純物としてアクリルアミドモノマーが数パーセント含有することがわかった。それで慢性毒性試験が行われたが、結果は陰性でした。

つまり、アクリルアミドの微量の濃度での有害作用はみられなかったので、飲料水に入っていても問題はないことになった。しかし、この時、私はびっくりしました。というのは水道水に極めて僅かであってもアクリルアミドモノマーが混入していることが判明しているにも拘らず、水道局は毒性実験をせずにポリアクリルアミドを使用していました。実験では有害作用は示されませんでしたが、水道局の姿勢には水道水を使う人々の安全性など、二の次、三の次で作業効率だけを優先していたことがわかりますね。今でも水道水の原水の一次処理にポリアクリルアミドを使っているのかどうかはわかりませんが、もし、使っているのなら、アクリルアミドの問題が生じますね。使っていないにしても同様のものを使用していることは確かだと思います。

このような過去の事が思い出されましたが、まさか、植物や動物を焦がすことでアクリルアミドが出現するとはさすがに思いもよりませんでした。

アクリルアミドの化学式はC3H5NO、示性式はCH2 = CHCONH2

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焼いたり、揚げたりした食品にはアクリルアミドが出現する作用機序は、アスパラギンと糖類のメイラー反応によって生成していると推定されます

国際癌研究機関IARCではアクリルアミドの発癌性はグループ2Aです。それは人では十分な発癌データは得られていないが動物実験の経口投与で精巣中皮腫、甲状腺濾胞細胞腺腫、乳腺腫、陰核腺腫などがみられているからです。

確かに示性式からみてNH2基があり、発癌が生じてもおかしくはない。動物実験では良性腫瘍の方が悪性よりも多く出現していることからみて、ベンジジンのような強烈な発癌性ではないようである。又、食品の焦げたものがアクリルアミドになっていた場合、それだけで癌化するのではないようで、他の発癌因子(イニシエーター発癌物質、プロモーター発癌促進物質)との複合汚染状態が続いて癌化しているものと考える。

しかし、この記事はまさに私たちの食生活に警告を与えているものです。私も「長生き食品、早死に食品」(プレジデント社)の中で、料理方法は生、ゆでる、蒸す、煮込むまでの方法、つまり80℃以下で調理すること、そして、揚げる、焼く、炒める料理は、体に負担がかかる物質に変化するので、100℃以上の調理温度にはしないことを提唱していました。

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私の著書、「癌告知。生き方をガラッと変えて僕は生還した!」の中に登場した皇法医学の宮川令子さんは「私は小さい頃から医者だった祖父から厳しく、食品の焦げたものは、肉、魚、野菜を問わず、焦げたものの飲み物に至るまで絶対に摂るな、お腹の中で食べ物が化けてしまうぞときつく言われてきて、今もその教えを守っているとのことです。」焦げた飲み物といえば、コーヒーやほうじ茶などがそうですし、焼き魚、焼き野菜、ステーキなどは焦げ食品の筆頭となるでしょうね。
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そう言えば、ある時、コーヒーを飲んでいて、タールの匂い、たばこのニコチンの匂いがして、それを最近、話したことがありました。昔の人の言葉をそのまま伝えているものですから、素直に聞く必要があるということだと思います。焦げることによってニトロソアミンやタール成分、そして今度はアクリルアミドなど、これらが複合されることで、思わぬ毒性物質が出現しているのかも知れませんね。

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